漆黒の斬撃

東京砂漠に生きる役者が、主に物語を書き綴るブログです。つたない文章ですが、お付き合い頂けたら幸いです。

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  目次
☆現在執筆中のタイトル☆
   
陽炎の海 …(ちょっとした冒険ファンタジー?)
混沌、そして終焉なる産声 …(死を抱く少年と少女の淡い恋)
HOPE …(妄想てんこ盛りの青春爆走w)
十六夜?月下天真? …(常世と現世の狭間で)
血だまりの華 …(異聞・戦国伝)
光速道路 …(もしも、あのとき…) 

☆完結済みのタイトル☆

今宵、桜の木の下で …(忘れ得ぬ愛)



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2005/04/20/Wed 05:14:15   未分類/CM(-)/TB(-)/



  【陽炎の海】プロローグ
『絶対に…絶対に超えてやる!!!!』

少年は咆哮した。誰も居ない空へ、誰もが見ている空へ。
そして、自分自身へ。幸福の終わりであり絶望の始まりである
咆哮は、悠久とも思える時間、虚空を彷徨った――――――。
2005/04/22/Fri 00:39:23   陽炎の海/CM:0/TB:0/



  【陽炎の海・第一輪】『足音』
抜けるような青空が見え、眼下には深い森。
緑が騒ぎ、大気に震える森が高らかに詩っているようだった。

『我が掌に集まりし原素よ、その力、我に示めさん…』

少年の掌には火の粉が集まり、やがて大きな煌きとなって
周りの木々を燃やさんばかりに紅く燃え始めた。

『散!』

一瞬にして消えた炎はまた火の粉となり、あたかも
少年の周りで戯れるが如く纏わり、そして宙へ消えた。

「あ?あ…ほんとにこんな事しかしてなくていいのかよ…」

手を払い、先ほどまでの感覚を弄びながら、基礎を
続けさせる兄と父に対して、疑念を抱いていた。

「痛っ!ん??」

背後から小石のようなものが飛んできて当たり
森の木陰から、一陣の風と共に小柄な少女が現れた。

「へへ?☆あったりぃ♪油断してるからそういう事になるのよ」
「んだよ蒼華か…。戦闘中でもねぇのに気が付くわけ…」
「『戦士は常に冷静であれ』じゃないの?」
「っぐ…」
「私の勝ち?♪」
「余計なお世話だっつの!」
「痛った?い、朱漣が殴ったぁ?↓↓↓」
「大して痛くもないくせに。で、お前は何しに来たんだよ?」
「一人で修行してて、寂しくないかなぁって思ってさ♪」
「おおかた兄貴に頼まれたんだろ?お前、兄貴にベタ惚れだしな」
「はぁ!?ちょ!な、何言ってるの!?なんで私が橙地さんを…」
「いいよいいよ、いまさら隠さなくても」
「だからぁ…」

バサバサバサ…

「あれ?兄貴の式鴉だ」
「シュレン…ソウカ…ニゲロ…」
「?」
「?」

シュウ…

「兄貴の式鴉が…」
「消えた…」
「!!」
「朱漣?ちょ、ちょっと!」
「今の伝言!それに式鴉が消えるなんて…何か…何かあったんだ!!」

空が騒ぎ始めていた。少年の心と同調するよう。
2005/04/26/Tue 19:50:46   陽炎の海/CM:1/TB:0/



  【陽炎の海・第二輪】『胎動』
ガサガサ…ガサガサ…ザザッ!

「ちょ、ちょっと朱蓮!待ってったら!!」
「うるさい!急げよ!」
「そんなに急ぐような事?だって何かの間違いかも…」
「兄貴が間違いや冗談であんな事するか!?」
「そ…それはそうだけど…」
「式鴉が消えるなんて…絶対兄貴の身に何かあったんだ!」
「……」

『たゆたう自然の子たちよ、その力、我に示さん…』

少女の掌から放たれた風は少年の体に纏わり、戯れ始めた。

「急ぐんなら…こっちの方がいいでしょ?」
「ああ」

『翔風の舞・脚!』

纏わり始めた風は少年と少女の足に集まり、その体を
風のように軽くした。まるで一つの音楽のように
風と森が心地よい音を奏でながら、彼らは森を駆け抜けた。

「朱漣、平気?大丈夫?」
「ん…やっぱ風は慣れねぇけど大丈夫、急ごう」
「うん…でもどうしていきなり式鴉が消えたり…」
「可能性は…2つ…」
「うん…」
「術者である兄貴が気を失ったか…あるいは…」
「…」
「気を失う以上の…」
「そんな事ないよ!」
「俺だってそんな事考えたくねぇよ!」
「ごめん…」
「あの伝言が間違いじゃなかったとしたら、兄貴の身に
 何かがあったことは確かだ…」
「…」
「だけど兄貴の身に何かがあったんだとしても、一緒にいる
 親父たちは一体何をしてんだ…?」
「そう…だよね」
「『逃げろ』って一体どういう意味なんだ…?何から逃げるんだ?」
「逃げる…まさか…」
「まさか?」
「まさかそんな…第一、結界が張ってある限り…」
「蒼華?何か知ってるのか?」
「あ…ううん…分かんない…ただ…」
「ただ?」

キーーン……

「なに?」
「この耳鳴りは…」

『君かい?橙地の弟というのは…』

「え!?」
「これは…兄貴の『伝心術』!?」

『君が…"眼"の持ち主だね?』

「この声は橙地さん…じゃないよね?」
「なんなんだ!?お前は誰だ!?」

『質問をしているのは……僕の方だ!!』

「な!?」

大気が震え、彼らの纏っていた風が一瞬にして消滅した。

「朱漣!?」
「平気だ!けどなんで急に風が!?」
「わかんない!」
「なんか胸騒ぎがする…もうすぐ結界点だよな?急ぐぞ!」
「うん!」

『さぁ…君たちに現実を見せてあげよう…』

「蒼華…」
「え?」
「ここ…一体どこなんだ…」

目の前の光景を、悪夢だと思わずにはいられなかった。
2005/05/03/Tue 03:53:01   陽炎の海/CM:0/TB:0/



  【陽炎の海・第三輪】『現実』
朱漣が住んでいる村は自然と共に生きている。それがヒトの
あるべき姿だと、そう考えているから。家族は父親と兄だけ。

母親は昔の大きな戦で朱漣を生んですぐに死んでいる。
朱漣は自分の母親の事をほとんど覚えていない。唯一の
記憶は、優しい笑顔と、キンモクセイの香りだけ。

蒼華の家とは隣同士で父親同士が昔馴染み。母親のいない
彼にとって、蒼華の母が彼の母親代わりだった。だから蒼華とは
兄と一緒によく遊び、昔から三人いつも一緒だった。

そのうち、兄が戦士としての修行をするようになってからは
あまり三人では遊ばなくなった。自然と、蒼華ともただの隣人同士の
付き合いになっていったが、彼は蒼華を妹のように思っている。

そんな蒼華の父と彼の父親は『終焉の双龍』と恐れられた
戦士だったが、大戦後に生まれた彼には全然実感が無い。
家ではいたって普通の父親だからだ。

双龍はこの世界を二分する大きな戦があった時、ある人の
手助けをしていた。今、この世界の三分の二以上を領土とする

【ジーフォルン国の王・ゼギウス】

それが彼の父と蒼華の父親である『終焉の双龍』の従う人だった。
やがて大戦が終わり、ゼギウスが国をまとめはじめた。
双龍は一族の元に帰り、家族と共に平和に暮らしていた。

ところが、そんな平和を打ち砕くかの如く、ゼギウスが
自然の摂理に逆らう行為を認め始めた。志を同じにしたはずの
彼が手にし、穏やかに暮らす人々の平和を打ち砕いたモノ…

?気壊?

自然の摂理である『気』そのものを『壊す』ことによって
人工物を創造し、自然との調和を放棄し、人工に
生み出したまやかしの幸福にすがるようになった。

ジーフォルンの悪行を耳にした彼の父は、たった一度だけ
昔話を朱漣に切々と語った。父親が生涯、ただ一度だけ愛した
母の墓前の前で、その命日を憂いながら…。まだ当時
10歳だった朱漣には理解出来なかったが、父は話続けた。

朱漣は王を《悪》だとは思わなかった。大勢の人々が暮らし
やすいようになるのであれば、そうしたい人はそうすればいい。
だけど彼のそんな考えは甘かった…。ゼギウスは気壊を
使って武器を作り、武器は弱者と強者を作り、強者は
支配を作り、弱者は嘆きを作り、世界は混沌に包まれ始めた。

そんな中でも、朱漣の一族やこの土地の部族の人々は
代々の教えに従い、自然に身を委ねていた。何度か
ジーフォルンからの襲撃はあったが、兄や村の人たちが
応戦し、気壊にも負けない結界も張った。彼は、そんな
みんなの力になりたくて、必死で力を手に入れようとした。

朱漣の一族は【気術】を操ることが出来る。

体内に流れる気・内気
自然に流れる気・外気
人の心に宿る気・禅気
人の魂に宿る気・護気

これら四気を自在にコントロールする術を
【気術】と言い、その中でも高位の技がある。

【言詩力】?げんしりょく?

内気・外気を練り合わせ
禅気によって増幅し
護気を以ってして発動する
すなわちそれを【言詩力】と云う


他の部族にも【気術】を操る部族はあるが、高位術である
【言詩力】を扱えるのは朱漣の部族のだけであり
しかも【伝心術】は彼の兄のオリジナル。だから
他人、ましてや常人に扱えるはずがなかった。





『君たちに現実を見せてあげよう…』


声の主は確かにそう言った。一瞬の出来事と状況に
頭が追いつかなかったけど確かにそう言った。

あいつがそう言った瞬間、結界を抜けた俺たちが見たのは
俺たちが生まれ育った村ではなく、全てが土と化し
砂と化した、ただの『思い出の残骸』だった…

2005/05/26/Thu 04:52:37   陽炎の海/CM:0/TB:0/



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