漆黒の斬撃

東京砂漠に生きる役者が、主に物語を書き綴るブログです。つたない文章ですが、お付き合い頂けたら幸いです。

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  【混沌、そして終焉なる産声・一歌】『明日に出会う水面』
照り付ける太陽の光に、水面が揺れている。水面に照り付けられた
太陽の光は乱反射を起こして、校舎の壁に不思議な模様を
浮かび上がらせていた。まるで異世界に紛れ込んだような…
そんな気分にさせてくれた。

母さんが話してくれた。この太陽の光だけは、昔から変わらないって。
母さんもこういう光景見たのかな。僕は木陰に座りながら、しばらく
壁の異世界に見入っていた。ゆらゆらと揺れる光。地球の外から
送られてきた光で作られた、僕が住んでる世界とは別の世界…。
この光に触れたら…この世界から抜け出せるかな…。そう思った刹那、
壁の異世界が消えた。僕は後ろを振り返る。1人の女の子が泳ぎ始めていた。
真っ白い水着に身を包んで、キレイなクロールで水面を揺らしていた。
ゴーグルで顔は全然分からないけど、ここに居る以上、この学校の
子なのかな。背も高そうだし、僕と同じ学年かもしれない。と言っても、
六年生になってから学校に来る友達は数えるほどしか居ないけど…。

「ねぇ?キミ。」
「!!」

僕はびっくりした。いきなり見知らぬ女の子に声をかけられてしまった。
怖い女の子だったらどうしよう…。いきなりお金とか取られたら…

「ねぇってば。」
「…なに…?」

彼女はプールサイドから僕に話しかけてきた。逆光で相変わらず顔が
よく分からないけど、スイムキャップをはずした彼女は長い黒髪だった。
段々とフェンス越しに、白い水着が僕の目の前に近づいてきた。

「キミ、ここの学校の子?」
「そう…だけど…」
「何年生?」
「一応六年生…だけど…」
「そっか、よかった。私、二学期から転入予定の天野百合。キミは?」
「土原…十流」
「トオル?漢字は?私は花のユリ」
「漢数字の十に流れる…」
「そっかぁ。じゃあ十流が10人居たら私になれるね」
「え?」
「それもとも私が10分の1になればいいのかな」

そう言った彼女は僕に背を向けて、スイムキャップの中に髪をしまい、
また水の中へ消えて行った。僕はなんだか恥ずかしくなって、また
壁の異世界を眺めた。彼女も六年生なんだろうか…。彼女の質問に
答えてばかりで僕は何も答えられなかった。元々人と話しをするのは
得意じゃないけど、なんだか彼女の質問には素直に答えられた。きっと
それは、さっきの壁の異世界が続いてて、僕が僕じゃなかったんだ…。
ここを離れたら、またきっと僕は僕の世界に還る…。そう思いながら、
壁の異世界を見つめていた。そしてもう一度プールを見ると彼女が
笑顔で手を振っていた。僕の10分の1の彼女と、彼女の10倍の僕。

二人の出会いはここから始まった。
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2005/08/26/Fri 05:51:41   混沌、そして終焉なる産声/CM:0/TB:0/



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