漆黒の斬撃

東京砂漠に生きる役者が、主に物語を書き綴るブログです。つたない文章ですが、お付き合い頂けたら幸いです。

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  ?朧?
年が明けて、新しい一年が始まった。
大晦日の出来事があって、俺は人生で一番
最悪の正月を迎えていた。年末に降った
大雪は溶け始めて、街は段々と普段の様相を
取り戻していった。が、俺はそれと反比例するように
次第に自分の殻に閉じこもっていった。そんな
俺を見かねて、後輩の由貴が俺に声をかけてくれた。

「先輩の落ち込んでる姿見てると…寂しいです…」

俺は、なんとか自分を奮い立たせた。
このままじゃ、社会人として後輩に
示しがつかないし、男としても失格だ。

確たる証拠を自分の眼で見たワケじゃない。
彼女には、何か止むに止まれぬ事情が
あったに違いない。母親の事もある。
何より、俺には任されたプロジェクトもある。
今は腐ってるトキじゃない、そう自分に
言い聞かせ、気持ちを切り替えた。

しかし、年が明けても、彼女は出社を
してこなかった。俺は毎日を闇雲に生きていた。

そんなある日、なんとなく気晴らしに街へ出掛けたとき
香澄を見た。俺の知らない男と、親しそうに食事をしていた。

香澄の親族にあんな男が居るなんて聞いた事が無い。
両親にしては若い。じゃあ…じゃああれは一体誰だ…?
あれが先輩の言っていた…よく会ってるという…男…?

噂じゃなかった。確たる証拠を自分で見てしまった。
俺は、二人が店から出てくるのを、待った。

「香澄…」
「あ…」
「どう…」
「ごめんね」

彼女はそう言うと、隣に居た男を急かすように
駐車場へと消え、車に乗り込んでその場を去っていった。
その翌日、彼女は長期で会社に休暇願いを出していた。

なぜ会社を長期で休む必要が…?俺と顔を
合わせるのがそんなに辛いから…?それとも
会社を長期で休まなきゃいけないほど
母親の状態がよくないのか…?だけど
それだったら上司が何か言ってくれるはず…。

なぜ?ナゼ?何故………

数日間、そんな自問自答を繰り返した。
だけど堂々巡りだった。真実を彼女から聞くまでは
どうにもならない、と思い、余計な事を
考えまいとして、何も考えないように
ひたすら働いた。自分の身体を自身で痛め
酒で誤魔化し、仮初めの時間を生き急いだ。

そして、プロジェクト成功を祝う会社の飲み会で
派手に酔った俺は由貴に介抱され…過ちを犯した。

「私…香澄先輩の代わりでも…いいですから…」

仕事に対する疲労と心の荒みが、後輩の…
いや、女性としての優しさに触れ、自分の弱さに負けた。

理性を無くした俺は、由貴を抱きしめてしまった。
酒に任せて、そのまま自分を見失うように。

でも、俺に香澄の笑顔を忘れる事は出来なかった。
一線を越える事は無かったけど、それでも
浮気をした事に変わりは無い。他の女性に
一瞬でも心を許してしまったのだから…。

あの時、顔を合わせたのに、何も連絡を
してこない彼女が分からなかった。
愛しいが故に、俺はどうしたらいいのか
分からなかった…。それからはただ
悪戯に時間だけが過ぎていった。

再び桜が咲きそうになり、会社は一年の
締め括りに追われていた。冬の寒さと
春の温かさが混在したある日、社内に張り出された
辞令には、香澄の退職が記されていた。

香澄は、俺の前から消えようとしていた。
空には薄黒い雲に望が遮られ、脆弱な光を
飲み込みそうな闇が、眼前に広がっていた…。
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2006/11/22/Wed 01:45:53   今宵、桜の木の下で/CM:0/TB:0/



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