漆黒の斬撃

東京砂漠に生きる役者が、主に物語を書き綴るブログです。つたない文章ですが、お付き合い頂けたら幸いです。

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  境内。
商店街をひとしきり回って、悠太が言ったように
時代の移り変わりを感じた。遠足のお菓子を
友達と争うように買った駄菓子屋は銀行ATMになり
本屋は中古のゲームショップに、八百屋は大手の
コンビニチェーン店に、色々と姿を変えていた。

店を続けているところよりも、閉めているところのが
圧倒的に多かった。道路の舗装やアーケドの改修で
美化は進んでも、量産した人形のような商店街は
職人の魂が宿らない人形の眼と同じく、どこか虚ろだ。

「あ、そうだ。せっかくだから神社、行く?」
「へぇ。あの神社はまだあるんだ?」
「神主が妖怪だからなぁ」

商店街から伸びている路地を歩くと、少し小さめの
少年時代の俺たちにとっては遊び場だった神社がある。

俺たちのじいちゃんが子どもの時よりももっと前、平安時代から
建つ歴史のある神社。そんな歴史も、子どもにとっては
絵に描いたお金と大差無かった。

そんな場所も、地元で一番思い出深い場所かも知れない。
今でもハッキリと思い出す事が出来る、蝉の鳴く夕暮れの思い出。

境内までの石道を歩き、砂利道を抜け、五段程の石段を登り
賽銭箱の前に止まって賽銭を投げると、石段に腰を下ろした。

「こんだけ町並みが変わったのに、ここは変わらねぇな」
「俺らどころか、この町より古?い歴史ある神社だよ?」
「そうそう変わるわけないか」
「そうそう♪」
「賽銭ドロとか未だに」
「あるある♪」
「こんなボロ神社の賽…ってあんのかよ!」
「しょーが無いっしょ?まだまだ下級層は不景気なんだから」

一人暮らししてる時には得られなかった心の潤い。
悠太とのたわいも無い会話に、俺は癒されていた。

空に星が見え始め、外灯に明かりが灯る。
夜の闇が深まっていくのと比例して、少しだけ
聞こえていた子どもたちの声も膨らんでいった。

「こっちは、やっぱ夜空が綺麗だなぁ」
「なになに?ちょっとセンチになっちゃった?」
「あほ。単純に…ちょっと思い出に浸ってるだけだよ」
「まな…倉石の…こととか?」

その名を聞いて、心臓が一気に倍以上の脈動を打ったような
気がした。悠太に倉石との話をした事は無かったはずだった。

「な…なんで倉石の事なんて思い出し…」
「俺が…知らないとでも思った?」
「……」
「なんてな…」
「なんで、く…」
「トシ。俺さ…」

気が付くと、手は汗まみれだった。暗く迫ってきた
夕闇に怯える子どものように、少し震えていた。悠太が
口を真一文字に結び、次の言葉を放とうと口を開きかけたとき
遠くから祭囃子と共に、和太鼓の激しい音が耳に響いてきた。

「太鼓が聞こえ始めたって事は…」
「おい悠太。なんだよ?何か俺に…」
「いいじゃんいいじゃん、また後でな」

そう言うと、悠太は商店街の方に歩き始めた。
少し納得のいかない表情で悠太の後を追うと
視界の端に、小さな小屋のようなモノが映った。

「ミラー…ラビリンス…?」

そういえば…昔はこの辺りにお化け屋敷があったっけ…
思い出しただけなのに、なぜか小屋に向けて歩を進めた。
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2007/03/04/Sun 00:49:54   光速道路/CM:0/TB:0/



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